忘年会でないと、とれないコミュニケーションなど、存在しない。

会社やめてからの人生

忘年会スルー、というキーワードが、各所で話題だ。

昨日のNHKニュースでも報道されてたし、まだTwitterのトレンドにも入っている。

せっかくなので乗ってみよう。このビッグウェーブに。

エラー|NHK NEWS WEB

まぁ普通に考えて、今の時代、忘年会などイラン!という考えが主流になるのは仕方ない。

私もそうだ。

ただ、せっかくなので、前職時代の思い出をもとに、

「それでも、中小企業が忘年会をするとしたら、どうすべきか」

について考えてみたい。

まず、私の前職時代の忘年会を振り返ってみる。

まさに、ダメな忘年会の典型例であった。

私がいたのは、田舎の典型的なワンオーナー中小企業。社員は100人くらい。

忘年会は、創業からの伝統ある行事で、毎年、旅館を貸切って行われていた。時代錯誤も甚だしい。

社長の熱意も空しく、参加率は年々減少の一途をたどっており、私が退職する前年などは、たしか、20代の参加率は、せいぜい3割程度だったはず。

「世代間の垣根を超えたコミュニケーションを」

が目的なら、完全に失敗といえるだろう。

結局参加しているのは、社長の犬か、波風立てることを由としない穏健派の方々だけだ。

コミュニケーションもクソもない。ただの傷の舐め合いである。何も生まれるものはない。

なら、目的を果たせていないのだから、とっとと、こんな行事はなくせばいい。

しかし、なくならない。

なぜか。

それは、そもそも社長自身が、「垣根を超えたコミュニケーションなど望んでないから」であった。

忘年会では毎回、社長が希望したゲストや、歌手が呼ばれていた。完全に、社長の好みの人選である。

20代や30代の社員が、演歌のショーなど見て、喜ぶわけがない。

今時演歌wwwwマジうけるwww

とか、SNSのネタになるくらいだろう。

たまーに、親の影響か、ツボに入る若手がいて、それを社長が知ると、露骨にひいきをするようになっていた。チームワークの向上という意味では、むしろマイナスでしかなかった。

営業社員は、自分の酒もそこそこに、各席へ酒を注ぎに回り、謙虚な若手たちは、結局仲の良い友人とだけ語り合い、二次会に引っ張りまわされないように、とっと逃げる。

うーん、実に意味のないイベントだ。

「忘年会スルー」が流行るのも、しごく当然の結果といえよう。

「こういう機会でもないと話せないことがある」と、上の人間はいうが、

残念なことに、私の観測範囲では、酒の入った上の連中は、大抵、自分のことばかり話しており、若手の悩みや考えを、しっかり聞き出そう、耳を傾けよう、というスタンスで接している人など、殆どいなかった。

そんなことにない。

中には、真剣に若手と話そうとしている人もいる、という意見もあるだろう。

ただ、本当に若手とコミュニケーションをとりたかったら、うまい飯でもおごってあげて、その時に話せばいいんじゃないかな・・・と思う。

1対1だと畏まるから、という意見もあるが、なら、何人か合わせて誘えばいい。

どうせ、一夜で真剣に話せる相手なんて、せいぜい2~3人までだ。

どちらにしても、

忘年会でないと、とれないコミュニケーションなど、存在しない

というのが、私の考えである。

そうなると、やっぱ忘年会要らないよね、という話になるのだが、

とにかく忘年会をやりたいという人は、今後も居続けるだろうし、トップが忘年会推進派であれば、やらざるを得ない。

なので、幹事がやることは、「少しでも若手がメリットにとってメリットがあるイベント」を盛り込むことだ。

これは、「多分こうしたら若手は喜ぶだろう」という思いこみではなく、きちんとデータやヒアリングに基づいて行わなくてはならない。

参考までに、前職時代の体験でいうと、

・参加費を補助、または無料

というのは、背中を押す効果はあるが、決定打にはならない。実際、私のいた会社は、参加費は全員無料だったが、参加率はさんさんたる様であった。

もっとも、前職の場合、半分は、強制的な積み立て金から支払われていたので、無料というと語弊があったが。

上の人は、「どうせ取られる金なんだから、参加したらいいのに」と言っていたが、こんな発言が出ることからして、若手の気持ちを分かっていない。

彼らは、金を奪われた上に、時間まで奪われたくないのだよ。

・景品のあるイベントを企画する(ビンゴなど)

これも効果ありそうで、あまりない。どうせ、大半の人間が、500円~1000円程度の粗品をもらうだけになるからだ。

やるなら、1等100万円、くらいでないと。効果はないだろう。実際、取引先ではやっている会社もあった。

卑しいように感じるかもしれないが、本来動かない人たちを行動させるには、これくらいのインパクトが必要だ。

つまり、時間の無駄をひっくり返すくらいの「価値」がある、と、思わせることだ。

確率を上げるために、50万、20万、10万×3、くらい用意してもいいかもしれない。

どちらにしても、この時代、「意味ある忘年会」を続けたいなら、相当の策がないとダメだと思う。

東京の意識高い系の会社は、昼ランチや、社内パーティなんかを、別の手段にしているらしいが、

田舎の中小企業は、そもそも働く意識の低い人間が多いので、多分成功しないと思う。ほとんど車通勤なので、社内パーティは難しいし。

などなど。

そういえば、今年は、約15年ぶりに忘年会のない年末を迎えている。(退職したので)

余計な頭を悩ませることもなく、実に心地よい。

フリーランス最高や。