ハードディスクの処分が、たった一人の人間に任されていると聞いたら、どう思うか。

会社やめてからの人生

神奈川県庁の大量の個人情報、機密情報が入っているハードディスク。

廃棄していたはずが、実は処理業者の社員によって、一部が転売され、流出していたことが明るみとなり、現在、大問題になっている。

HDDなど転売「7844個」──行政文書流出、ブロードリンクが謝罪 ずさんな管理体制明らかに
神奈川県庁が使っていたファイルサーバのHDDが転売され、個人情報を含むデータが流出した問題で、ブロードリンクは記者会見を開き、流出のいきさつと捜査の状況を説明した。同社の高橋雄一容疑者は3年前から7844台の機器を転売していたという。

別ソースだと、世界最大規模の流出事件、なんて、アオリも見た。ほんとかよ。

比較対象もないのに、世界最大クラスかどうかなんてわからないので、お前、「世界」って言いたいだけちゃうんか、と突っ込みたい所なのだが、

まぁそれはおいとして、一企業のシステム担当であった、私なりの意見を述べておきたい。

私は今回のニュース聞き、正直、耳が痛い。

私自身のずさんな管理が思い出されるからだ。他人事ではないのだ。

多分、一般人が思うよりも遥かに、ハードディスディスクの処分というのは、各社で「甘く」行われている。

勿論、ルールはある。

だが、実際の運用は、厳しさ、という面からすると、他人から見れば、「そんなんでいいの?」という処理が、多く行われているのだが実態だろう。

私がいた会社の場合、ハードディスクの処分は、システム担当に完全に一任されていた。

システム担当。つまり私である。

ちなみにルールさえ私が決めた。俺イズ神。

そりゃ、マトモな運用になるわけないね。(反省)

正確には、もう一人いたのだが、そちらは役員クラスで、面倒な実務は私に丸投げだった。

そして、私も日々の業務が多忙を極めたので、ハードディスクの処分などに手を回すのは面倒であり、他に託す人間もいない。

外注しようにも、稟議書を書くことさえ億劫だ。

そんな私がとった手段。

それは、金庫を準備し、廃棄するハードディスクは、全てその中に放り込む、という方法である。

これなら、手間は一切かからない。素晴らしい。

ハードディスク壊れた?いいよー。んじゃコレ、ポイッ。

ポイッ。ガチャ。ポイッ。ガチャ。

そして、月日は流れ。

金庫の中は、上段も下段も、ハードディスクで埋め尽くされた。

そして、「これどないしょ・・・」と気づいたのが、退職一か月前のボク。

退職届を出してからは、中々ワイルドな毎日を過ごしており、完全に忘れていたのだ。

あと一ヶ月切ったし、やり残したことはないか整理しよーと、腕まくりして、

横を見た先に、ヤツ(金庫)がいたのである。

いやー、まいった、まいった。

さてどうする。

これ全部、業者に廃棄を依頼したら、相当かかるだろう。見積もりとる気さえおきない。

ついでにいえば、退職一ヶ月前に、そんな稟議書を書く勇気は私にない。

となると、自力で処分するしかないのだが、ハードディスクは水没させた程度では、復活させられる可能性が高い。

薬品を使うか、完全に内部を破壊するか、だが、破壊するのも専用の機械がないと大変だ。

仕方ないので、もう一人のシステム担当(役員)に正直に相談。

そして、彼から笑顔で渡されたのが、RPGに出てきそうな巨大なハンマーである。

攻撃力80。装備できるのは戦士だけ。みたいなやつ。

えっ。

つまり・・・そういうことですか?

役員 ニコー。

はい・・・。

そこから、私は毎日バーサーカーとなり、会社の裏庭で、ハンマーをたたきつけ、HDDのプラッタを破壊する作業に追われることになったのでした。

今思えば、

「いやいや、ドリルの方が早いっすよ!」

「買ってくださいよ~」

とおねだりするのが正解だったのだろうが、

色々あったこともあり、男で意地でその選択肢を拒否した。

ハンマーでHDDをぶったたいた経験がある人は分かると思うが、

ハードディスクというやつは、それなりに頑丈に出来ており、(むしろそうでないと困る)

外装をとりあえず外さないと、ハンマーでぶったたいた所で、そうそう壊れない。

いや、内部は壊れてるのだろうけど、見た目の変化がそんなにないので、安心できない。

見るからに、「よし殺した・・・」と確信できるレベルで壊すには、ネジを外して、プラッタを露出させてから叩かないと。

これが非常に手間だった。

ネジを開け、これまでの怒りを込めて、ハンマーをたたきつける。

メタル狩りさせられる戦士や勇者って、こんな気持ちなんだろうか・・・・。

でもあいつ等はレベル上がるからいいけど、俺上がらないしね。むしろ人間的には下がっている。

そんなしょうもないことを考えつつ、2週間ほどやり続けて、破壊作業は終わった。

残ったのは、両手の豆と、残骸。かすかな寂寥感だけだった。

さて、なんの話だったか。

つまりである。

これくらい、ハードディスクの処分というのは、いい加減に行われているのだ。

なぜなら、ハードディスクの扱いなんて、システム担当しか知らない。

そして、システム担当は、中小の場合、1~2人しかいないからである。

私からいえることは、世の経営者は趣味レベルでもいいので、データの保存、管理、処分方法については、学んでおいた方がいい、ということ。

システム担当は、役職以上に、実質の権限を持ちやすいので、そういった存在にも、強気に指示できるのは、経営者だけなのだ。

特に、データの扱いに関して詳しくなると、クラウドにした方がいいか、オンプレでやった方がいいか、などの判断を、より的確に行えるようになる。おすすめ。

廃棄処分を委託してない、世のシステム担当にアドバイス。

ハードディスクの処分は貯めないようにしよう!

退職するときに、困るぞ!