たまたまこのブログを見た人に、 聞いてみたいことがある。
普段、洗濯機の蛇口を、開けたままにしてはいないだろか。
「そうですがなにか?」
という人がいたら、悪いことはいわない。 今日にでも止めた方がよい。
今まで何も起きていないのは、 単にあなたが幸運だったからに過ぎない。
そんなものちょっとした揺らぎがあれば、軽く吹き飛ぶ。
砂上の楼閣である。
私は以前、とある悲劇を目撃した。以来、必ず洗濯機の蛇口は閉めるよう心掛けている。
あれは、私が新社会人1年目の時だった。 東京へ上京し、毎日のように飲みに出て、 田舎者が同期とイキってた。
時刻は深夜1時頃。 まだまだ飲むぞーと皆で盛り上がっていた時に、携帯が鳴った。上司からだった。
深夜1時に新入社員に連絡してくる。
どう考えてもただ事ではないわけだが、 当時は酔っていたせいか、あまり違和感を持たず、電話に出たように記憶している。
「はい、もしもし。なんですかー?」と答えると、
「そこにB君いる?ちょっと変わってくれない?」とのこと。 少し不機嫌が隠せないお声。
B君は別部署の新人である。こんな時間に一体なんの用が?
と、流石に少し冷静になる私。
電話を渡す。?という顔で、電話に出るB君。
酔っているせいか、いつもの赤ら顔に、さらに磨きがかかっている。
その彼の顔がみるみる青に染まった。指先も震えている。
「はい・・・・。はい・・・・」
と重々しく答えるB君。自然、周りも空気を読んで押し黙る。
電話は2分ほどで終わった。
「何があった?」と聞く。そして、私たち同期全員、 一気に酔いが覚めることになった。
話はこうである。
B君と私の上司は、同じマンションに住んでいる。いわゆる会社の借り上げというやつだ。
そして、B君の部屋は上司の真上にある。この時点で勘のいい人はお気づきかもしれない。
終電まで仕事し、疲れ果てて、夜食買い、早く寝ようと帰途に着いた上司は、そこで衝撃の事態を目撃することになった。
天井から大量の水が漏れている。部屋中が水浸し。
さらに、間の悪いことに、TVやコンポなどの高価な電化製品を置いてある位置に直撃している。
上の部屋に住んでいるのが、B君であることを知っていた上司は、おおよその事情を察し。
それでも新人相手と怒りを多少抑えつつ、深夜1時に私にコールをしたわけである。(上司はB君の携帯を知らないため)
結論として、原因はB君所有の洗濯機の蛇口が外れたことであった。
特に地震があったりしたわけでもなく、恐らく引っ越して、最初に設置した時、付け方が甘かったのだろうと推察される。
当時、気軽に彼に結果は聞けず、退職してから疎遠となったので、詳しいことは分からない。
おそらく会社の借り上げなので、保険等である程度、対応できたのではないかと思っている。
しかし、非常に気まずい出来事であった。入社してすぐ、会社の上司の部屋を水浸しである。
さらにいえば、電化製品への直撃から、大参事に繋がる可能性も充分にあった。
私はその事件まで、洗濯機の蛇口に対して、真剣に考えたことはなかった。
だが、この時、ハッキリ分かった。洗濯機の蛇口全開は、明らかなリスクなのだ。
ガスの元栓は気に掛ける人が多いのに、洗濯機の蛇口は、そうではない人が多いような気がする。
たとえ自分ではしっかり固定したつもりでも、地震や長年の水圧で弱まるなど、いくらでも不確定要素の要因は考えられる。外れる可能性は充分あるのだ。
断言するが、最初は面倒と思っても、数回も続ければ、ほとんど、蛇口を閉める動作は気にならないレベルで習慣化される。
というか、ガスの元栓を閉められるなら同じこと。ようはリスクと捉えるか、どうかの問題だ。
新しい悲劇を生まないためにも、特に新社会人や学生の方は気を付けて欲しい。
洗濯機の蛇口は必ず閉める。私が友人の悲劇から学んだ、手痛い教訓である。