神奈川県庁の大量の個人情報、機密情報が入っているハードディスク。
廃棄していたはずが、実は処理業者の社員によって、一部が転売され、流出していたことが明るみとなり、現在、大問題になっている。
別ソースだと、世界最大規模の流出事件、なんて、アオリも見た。ほんとかよ。
比較対象もないのに、世界最大クラスかどうかなんてわからないので、お前、「世界」って言いたいだけちゃうんか、と突っ込みたい所なのだが、
まぁそれはおいとして、一企業のシステム担当であった、私なりの意見を述べておきたい。
私は今回のニュース聞き、正直、耳が痛い。
私自身のずさんな管理が思い出されるからだ。他人事ではないのだ。
多分、一般人が思うよりも遥かに、ハードディスディスクの処分というのは、各社で「甘く」行われている。
勿論、ルールはある。
だが、実際の運用は、厳しさ、という面からすると、他人から見れば、「そんなんでいいの?」という処理が、多く行われているのだが実態だろう。
私がいた会社の場合、ハードディスクの処分は、システム担当に完全に一任されていた。
システム担当。つまり私である。
ちなみにルールさえ私が決めた。俺イズ神。
そりゃ、マトモな運用になるわけないね。(反省)
正確には、もう一人いたのだが、そちらは役員クラスで、面倒な実務は私に丸投げだった。
そして、私も日々の業務が多忙を極めたので、ハードディスクの処分などに手を回すのは面倒であり、他に託す人間もいない。
外注しようにも、稟議書を書くことさえ億劫だ。
そんな私がとった手段。
それは、金庫を準備し、廃棄するハードディスクは、全てその中に放り込む、という方法である。
これなら、手間は一切かからない。素晴らしい。
ハードディスク壊れた?いいよー。んじゃコレ、ポイッ。
ポイッ。ガチャ。ポイッ。ガチャ。
そして、月日は流れ。
金庫の中は、上段も下段も、ハードディスクで埋め尽くされた。
そして、「これどないしょ・・・」と気づいたのが、退職一か月前のボク。
退職届を出してからは、中々ワイルドな毎日を過ごしており、完全に忘れていたのだ。
あと一ヶ月切ったし、やり残したことはないか整理しよーと、腕まくりして、
横を見た先に、ヤツ(金庫)がいたのである。
いやー、まいった、まいった。
さてどうする。
これ全部、業者に廃棄を依頼したら、相当かかるだろう。見積もりとる気さえおきない。
ついでにいえば、退職一ヶ月前に、そんな稟議書を書く勇気は私にない。
となると、自力で処分するしかないのだが、ハードディスクは水没させた程度では、復活させられる可能性が高い。
薬品を使うか、完全に内部を破壊するか、だが、破壊するのも専用の機械がないと大変だ。
仕方ないので、もう一人のシステム担当(役員)に正直に相談。
そして、彼から笑顔で渡されたのが、RPGに出てきそうな巨大なハンマーである。
攻撃力80。装備できるのは戦士だけ。みたいなやつ。
えっ。
つまり・・・そういうことですか?
役員 ニコー。
はい・・・。
そこから、私は毎日バーサーカーとなり、会社の裏庭で、ハンマーをたたきつけ、HDDのプラッタを破壊する作業に追われることになったのでした。
今思えば、
「いやいや、ドリルの方が早いっすよ!」
「買ってくださいよ~」
とおねだりするのが正解だったのだろうが、
色々あったこともあり、男で意地でその選択肢を拒否した。
ハンマーでHDDをぶったたいた経験がある人は分かると思うが、
ハードディスクというやつは、それなりに頑丈に出来ており、(むしろそうでないと困る)
外装をとりあえず外さないと、ハンマーでぶったたいた所で、そうそう壊れない。
いや、内部は壊れてるのだろうけど、見た目の変化がそんなにないので、安心できない。
見るからに、「よし殺した・・・」と確信できるレベルで壊すには、ネジを外して、プラッタを露出させてから叩かないと。
これが非常に手間だった。
ネジを開け、これまでの怒りを込めて、ハンマーをたたきつける。
メタル狩りさせられる戦士や勇者って、こんな気持ちなんだろうか・・・・。
でもあいつ等はレベル上がるからいいけど、俺上がらないしね。むしろ人間的には下がっている。
そんなしょうもないことを考えつつ、2週間ほどやり続けて、破壊作業は終わった。
残ったのは、両手の豆と、残骸。かすかな寂寥感だけだった。
さて、なんの話だったか。
つまりである。
これくらい、ハードディスクの処分というのは、いい加減に行われているのだ。
なぜなら、ハードディスクの扱いなんて、システム担当しか知らない。
そして、システム担当は、中小の場合、1~2人しかいないからである。
私からいえることは、世の経営者は趣味レベルでもいいので、データの保存、管理、処分方法については、学んでおいた方がいい、ということ。
システム担当は、役職以上に、実質の権限を持ちやすいので、そういった存在にも、強気に指示できるのは、経営者だけなのだ。
特に、データの扱いに関して詳しくなると、クラウドにした方がいいか、オンプレでやった方がいいか、などの判断を、より的確に行えるようになる。おすすめ。
廃棄処分を委託してない、世のシステム担当にアドバイス。
ハードディスクの処分は貯めないようにしよう!
退職するときに、困るぞ!