商品、サービスの無料化によるデメリットを改めて考える

WEBの仕事話

若いインフルエンサーのブログなどを見ていると、「無料で情報を提供することの重要さ」を、殊更アピールしている例が目につく。

確かに「無料」で間口を広げ、ファンを増やし、その後、マネタイズで利益を出す仕組みは、今のトレンドで、インフルエンサーにピッタリだと思うが、

SNSなども合わせてみると、何でもかんでも「最初は無料にした方が良い」と思い込んでいる経営者(または事業リーダー)を見るので、個人的な意見を書いておきたい。

最終的に、ブログやアフィエイトで広告収入を得ることが目的の人にとって、最も重要なのは流入数、すなわち「PV」となる。だから当然、無料で有益な情報を出せば出すほど、ゴールに近づく。

しかし、目的が広告収入ではなく、商品やサービスの販売であった場合、「お試し」と称して、一時的に無料で提供することは、必ずしも良い結果になるとは限らない。

何故か。

色々理由はあるが、私が今まで、主に通販事業を担当してきた中で、「無料」サービスで宣伝したことで感じたデメリットは、以下の二つである。

①無料だと、なめられる

経営者にとって、自身の商品、サービスは、我が子のように愛しい存在である。だから、血のにじむ思いで「無料」にするわけだが、無論、ユーザーにとっては、ただの一商品にすぎない。

商品が「無料」であれば、殆どのユーザーは、単に「元手がかかってないから出来るんだな」と思う。一時的には赤字だろうけど、最終的に利益を出すために頑張ってるんだ・・・!なんて考える、奇特な人はいない。

なので、一度、無料で提供すると、ユーザーの中に、「このくらいの元手なんだろう」的な意識が生まれ、その後、正規価格で提供すると、必要以上に割高と思われるのである。すなわち、リピートにつながらなくなる。

②ひやかし、イタズラが増える

私も以前、とにかく頭数が大事だと考え、商品の無料お試しサービスを提案し、実行したことがある。コンサルタントは反対していたが、「やってみないと分からないでしょ!」とゴリ押ししたのだ。もちろん、私以外の社員も賛成だった。

結果は非常に芳しくないものだった。確かにユーザーの反応は、有料の時より増えた。だが、言葉を選ばずにいえば、「客とはいえない客」の割合が、一気に増えた。

・注文して返品を繰り返す

・名義を変えて、何度も商品を申し込む。その後、アフィで転売する。

・注文とは関係ない電話ばかりしてくる(政治の話、家族の話など)

・オペレーターにセクハラ電話をしてくる

などなど。数え上げればきりがない。

所詮、田舎の中小企業のマイナ-商材なのでこの程度で済んだが、これがもっとメジャーな商品であれば、これに「SNSでの口コミ」が加わるだろう。上記のようなユーザーから、あることないこと、口コミが書かれるわけだ。想像するだけでおぞましい。

全てのお客様は神様です、などという人は、おそらく聖人か、販売側に立ったことがない人間だろう。

「認知」は大事である。しかし、商品、サービスの販売、として最終的に利益を出すことが目的なら、購入ユーザーの対象は、広げるのではなく、絞るべきだと思う。

認知自体は、無料でサービスを提供しなくても、出来る施策は沢山ある。それこそ、ブログで有益な情報を発信し、自身をプチインフルエンサー的な存在にする方法もある。(現在は難易度が高いが、あくまで可能性として)。サービス自体を無料にするのとは、この点が大きく異なる。

ほかにも色々ありそうだが、パッと思いつくのはこの二つだろうか。

最近は、サブスクリプション(定額課金)のサービスが増え、最初は無料、ということも増えた。

それはそれで良いことなのだが、流行りだからといって、それが本当に自分の最終目的に当てはまるかは、しっかり検証するよう、自身にも心掛けておきたい。