ユーザーとは、「人」であることを忘れないようにしたい

人生観・仕事観

福島県の双葉町を含む3町で、避難指示が一部解除された、というニュースを見た。双葉町の避難解除は初めてらしい。

3月14日に常磐線全線復旧 福島3町の避難解除も決定 - 日本経済新聞
JR東日本は17日、東京電力福島第1原子力発電所事故により福島県内で不通が続いている常磐線の富岡―浪江間(約20.8キロ)の運行を3月14日に再開すると発表した。約9年ぶりの全線復旧となる。復旧区間では普通列車が1日11往復するほか、品川・上野―仙台間を直通する特急「ひたち」を3往復させ、地元住民の足となると期待される...

2011年から、もう9年たった。

爪痕は残ったままだが、被害地域を除いて、だんだんと、人々から震災の記憶が薄れていっていることは、まぎれもない事実だろう。

私も同じだ。

だが、「双葉町」というキーワードを聞いて、ある人を思い出した。

2011年、当時。私は、通販事業の総責任者だった。コールセンターのまとめ役もしていた。

あの日、大震災が起こり、商品を送るどころではなくなり、(それでもクレームを言ってくる人がいたのには、驚いたが)

後日、被災したエリアのお客様リストを作った。

その中に、双葉町の方もいた。

お客様は基本、定期購入を利用していたので、一応、契約は続いており、確認の必要があったが、

さすがに、そんな場合ではないだろう、ということで、しばらく静観していた。(余談ではあるが、災害時に、この安否確認をどのタイミングでするか、誰にするか、が、いつも悩みの種だった)

やがて、福島県の一部のお客様からも、電話が来るようになったので、もしかしたら、連絡がつくかもしれないと考え、双葉町のお客様に電話をかけた。

たしか、70歳以上のおじいさんだった。

長年、商品を愛用してくれて、饒舌ではないが、明るく感想を話してくれた。福島弁が聞き取れず、何度も謝った記憶がある。

期待を込めて、受話器を手に取る。コールする。

電話は、つながらなかった。

コールのみ、ではなく、「このエリアの電話は使用できません」という聞きなれないガイダンス。

全身の血が引いて、現実に戻された感覚を、よく覚えている。

そうか。そうだよな。

もしかしたら、元気な声を聞かせてもらえるのでは、というのは、とても甘い願望だったと思い知らされた。

心にフタをして、顧客データの、DMや連絡を停止するフラグをONにした。

それから数年。

休み明けに出社した私に、オペレーターが喜んで報告をした。

〇〇さんから連絡ありましたよ!

えっ、本当に!?

他県に避難していたその方は、ひょんなことから、ウチのことを思い出し、定期購入のことが気になって、わざわざ電話してくれたそうだ。

嬉しかった。

無事だったこと。そして、たかが、一商品の購入先を、そこまで気にしてくれていたことも。

いまさら、ということで、定期は再開されなかったが、気にはならなかった。

むしろ、それでも連絡してくださったことが嬉しかった。

通販、という仕事をしていると、人がデータに見える時がある。

しかし、それは人なのだ。ひとり、ひとり。

人格があり、優しさがあり、命がある。

分析という仕事をしていると、つい頭から消えそうになるが、忘れてはならないと、時折、胸に刻んでいる。

あの、お爺さんは、双葉町に帰るのだろうか。そうでないとしても、今、元気に、このニュースを聞いてほしい、と思った。

では。