SNSマーケティング、インフルエンサーマーケティング、という手法が、もはや当たり前となった時代。
ではあるが、SEOの時と同じで、とりあえず真新しい手法だから、という理由で飛びつき、情弱な方々に、粗悪な提案をする人たちは、後を絶たない。
先日も、そんな一幕を見かけた。
とある旅館のロビー。
ワーキングスペースで仕事をしていた私の耳に、二人の中年男性の会話が、入ってきた。
「支配人、これからはインフルエンサーマーケティングの時代ですよ!」
「ああ~。知ってます、知ってます。私もYoutubeとか見てますから(ドヤァ)」
いかにもネットにうとそうな男性同士が、マウンティングごっこを勤しんでいるのかと思えば、どうやら商談の真っ最中のご様子。
途中参加な上、全てが聞こえるわけではないが、大体想像はつく。
支配人と、広告代理店の営業が、この旅館のマーケティングについて、商談しているのであろう。
営業の方は、かなり上からスタンスなので、社長かもしれない。
どうも、この旅館のPR動画を撮影し、Youtubeで公開する、という所までは話がついているようだ。
ただ、温泉の特徴や、旅館、近隣スポットの見どころを撮ってYoutubeにあげる、という単純極まりない施策で、それに対する集客については、一切触れていなかった。
この旅館の知名度は知らないが、おそらく、年間再生数200回程度(内、7割は身内)で足踏みすることになるだろう。想像にかたくない。
てゆうか、インフルエンサーどこ?
と聞いていたら、
「今はTVでCM流すより、インフルエンサーの方が影響が大きいですからね!メンタリストDaigoとか知ってますか?部屋でずーっと早口でしゃべってるだけですよ。でも、何か見ちゃうんですよね。あれが人気なんですよ」
「聞いたことありますねぇ。キングコングの西野さんとかでしょ?凄い時代ですねぇ」
わいの、わいの。
その後も、インフルエンサーを使った具体的な施策の話はなく、たんに、有名どころの名前が出るだけで、どれがyoutubeの動画と結びつくかもわからず、商談は終わった。
ふぅ・・・。
思わずため息をついて、ノートを閉じた。
突っ込みどころが多すぎて困る。
が、せっかくなので、自分なりの意見を書いておこう。
まず、大前提として、この二人が話していた手法は、媒体がネットに変わっただけで、従来のTV(というかマスメディア)を使った考えと、根本的に何ら違わない。
イイものを露出すれば売れる。というプロダクトアウトな考え。
そこから脱却しないと、まず、何も始まらない。
確かに良い旅館だと思うが、温泉も、歴史ある建物も、正直、どこにでもあるものだ。ただ動画を上げた所で、差別化は図れない。
あと、インフルエンサーマーケティング(なんちゃって)については、頭が痛いのだが、
この手の方々が挙げるインフルエンサーは、大体、超有名どころ(メンタリストDaigo、キンコン西野、ヒカキンなど)、下手したらホリエモン、とかで、
本も沢山だしてて、TVにも出てるなど、いわゆる芸能人と変わらない人たちだ。
チャンネル登録数が、数万~10数万レベルの、ニッチなインフルエンサーの名前が出たことは、ほとんどない。
で、こんなVIPな方々が、旅館の宣伝をしてくれるの?無理でしょ?色々な意味で。
知名度がある人を使う、という考えがそもそも、従来と変わらない。
私なら、とりあえず、
・競合の旅館が、どんなSNSマーケをしているか調べる
・そのうえで、旅館の宣伝に適してそうなインフルエンサーを探す。(定番だが、旅人系や、外国系がいいかも)
・あとは交渉し、実際に本気で良いと思った印象を、動画にしてもらう。
・集客は、短期で効果を見たいなら、バナー広告やSNS広告も検討する。
という感じでやる。
(私はSNSマーケは全く実務経験がないので、思い付きである。適当に聞き流してください)
ようするに、本当にSNSを使ったマーケティングを考えるなら、その業種、クライアントならでは、唯一無二の提案ができないといけない、という事だ。SNSに限らずだけど。
さきほどの営業が挙げていた内容は、正直、どの旅館、どの業種でも、同じ話ができる内容だった。そんなもの、刺さるわけがない。
と、まぁ思うわけなのだが、
しかし、私も、横からしゃしゃりでて、
「それでは成功しません。私が本当のインフルエンサーマーケティングを提案しましょう(キリッ」
などとは言えない。
そんな実力もないし、そもそも仁義外れである。
それでも、どこかの漫画のキャラのように、そんなことが出来たらいいなぁと夢想する。
男の夢ですなぁ。
そんな朝だった。
さて、アホなこと考えてないで、仕事しよ。