実際に体験した人は、地方と東京の情報格差に愕然とする

WEBの仕事話

10年前のWEB技術でも、商売が成立してしまう世界

私が日々仕事をしている中で、一番危機感を感じているもの。それが、地方と東京の情報格差です。WEB格差といっていいかもしれません。ずっと東京でしか働いたことがない人は想像もできないと思いますが、田舎では、10年近く前の技術で WEBの 商売をする人間が、今でも平然とまかり通っています。

外部リンクやキーワード量など、小手先テクニックに頼るSEO、ユーザーの心理、個票データに全く興味を示さず、単純にアクセスを上げればCV(注文数など)も増えると言い切る、ユーザー視点ゼロの自称WEBコンサルタント…、上げればきりがありません。

なぜこうなるのか。色々原因はあるのですが、まずこれだろと思うものはあります。それは、東京は、マーケティングで経済が成り立つ社会ですが、田舎は、信用経済で成り立つ社会だからです。

信用経済でしか成り立たない社会は、やがて滅ぶ時代になる

田舎の中小企業では、どこぞに仕事を頼むときに、まずリサーチをして、比較をして、選定する、という当たり前のステップが行われません。

たいていは、社長や役員が知り合いの会社に頼むことを第一に考え、どうしても周りにいなかった場合のみ、やっとリサーチして探すという、通常とは逆の手順を行います。

このような競争原理の働かない状態が続くとどうなるか。WEB会社やフリーランスは新しい技術を全く学ばす、クライアント側も知識がないので、結果がでなくても、時代のせいと諦め、いまだに10年前の無駄に高いサーバー費用や、制作費を平気で払う(しかも、私が知り合いだから、ここまで値引きしてもらえたんだぞ!と相場もしらない社長が臆面なく言う)デススパイラルが完成するのです。

私も今まで、システム選び、広告運用会社選び、コンサルタント選び…。何度比較表を作り、提案しても、「そもそも比較表に名前もない地元の会社が選ばれる」という経験を、何度したかわかりません。メリット、コスト、すべてにおいて劣る会社が、ただただ昔からの付き合い、というだけで選ばれてきました。

ここまで聞いて、どの業界でもあることだよ、と思った方。甘いです。WEBに関しては、1年たてば今までの手法が通じないといわれるほど進化が速い世界です。なので、そこで10年も、やっつけ仕事でやってきた人間と、東京の最前線でやってきている人のレベル差は、半端ないです。

地元でずっとやってきた私でさえそう思うのですから、東京で働いていた人間が、この世界に来たらどんな絶望を味わうのか、想像にかたくありません。

東京から地元に帰ろうと考えているWEB担当者へ一言

幸い、私は上司の理解もあり(さじを投げたともいいますが)、数年前からほとんど独断でWEBの裁量権を与えられるようになり、WEB広告運用、ユーザー行動分析については、自分で選んだ東京でもトップクラスの企業と組んで仕事をすることが出来るようになりました。(その結果、自分のやっていることがどれだけ低レベルかと知ることになるのですが・・・)

どこかの記事で読んだのですが、現在、企業のWEBマーケター、ディレクター、デザイナーでバリリバリ働いている方々の、転職希望先1位は「企業のWEB担当」だそうです。あれだけ優秀な人たちなんですから、てっきり起業かフリーランスだと思ってました。

東京ならいいんですが、もし、地元に戻って、地方再生にも貢献できるといいな!

と夢に燃えているあなた。まず地方の現実をしっかりリサーチしてから、もう一度、真剣に考えてみましょう!

あなたのWEB技術、知識は、間違いなく地方で通用します。しかし、この信用経済を崩すだけの、自分なりの仕組みを考え、さらに、あまりにもクライアントに理解してもらえず、仕事にやる気を見出せなくなっても、別の生きがいで生きていけるという別の理由も、しっかり決めてから、帰郷を考えるのが良いかもしれません。