替えの利かない人材なんて、いない

会社やめるまでの軌跡

疑問に思ったことがある。

今回、退職願いを出すにあたって、散々聞かされたのが、「替えの利かない人材だから」というワードだ。この言葉で退職を考え直したり、残される人達を気にして、気に病む人もいるのかもしれない。

私も勿論、皆に申し訳ないという気持ちはある。だが、と疑問に思う。本当に「替えの利かない人材」なんているのだろうか。そんなはずはない。

あえていえば、それは会社のトップである「社長」くらいのものだ。社長という脳が死んだ時、会社は死ぬ。中小企業に、確かにこの法則は当てはまる。

だが、それ以外の手足は、ひどいダメージを負うことはあっても、死に直結することはない。死んだとしたら、それは脳に、元々問題があったのだ。

まともな社会人であれば、誰もが、「替えの利かない人材なんていない」と理解している。

だが、現実では「替えの利かない人材」というワードが、現場で飛び交う。これは、経営側にとって、このワードが、実に都合の良い言葉だからと、私は思う。

なぜ、「替えが効かないのか」。端的にいえば、それはたんなる「金」の問題である。

ここはあえて、心情という点を横に置き、説明するが、

貴重な人材が辞めることになっても、基本的に、以下の方法でその問題は解決できる。

①外部の人材を、本気で探す

②今のやり方を踏襲せず、新しく作り直す

まず、外部の人材だが、どれだけ人手不足だろうと、本気で探せば人は見つかる。給与、待遇、労働条件、それらを柔軟に考えれば、道筋は必ずある。

社内のバランスや、反感などを気にする経営者がいるが、なら外部としての契約で雇えば良い。

例えば私の場合、替えが効かない人材として挙げられた理由は、

・WEBマーケティングを分かる人がいない

・Html、CSSを使える人がいない

・Accessで、自社システムを改修できる人がいない

などだ。

確かに、現在の社内には出来る人材はいない。

だが、全て、外部の人間に頼める仕事だ。問題はコストだけである。

多少使える人間から見れば、「替えが効かない」なんて大げさなものでないことは一目瞭然である。

また、

Accessのシステムなども、正直、古いシステムを使い続ける理由はないと思う。

いい棚卸の機会と考え、一掃したら良いのだ。ここ数年で、便利なツールやサービスが山ほど増えた。ゼロベースでやり方を考え直せば、解決方法はいくらでもある。

もちろん、そのための検討は必要だし、その時間は企業として「ロス」となる。経営者はそれを失いたくない。だからいうのだ。「替えの利かない人材」と。

私の言いたいことは、ただ一つ。

替えの利かない人材という言葉は、これまで会社に貢献してきた人物ほど、嬉しいものだ。それは素直に受け取り、感謝の気持ちを述べるべきである。

だが、それはあくまで、経営者にとって、都合の良い言葉であることも、理解しておかなくてはならない。替えが見つかれば、あっさり手の平を返すことも、往々にしてあるのが、世の常というものだ。

それを忘れず、でも誠意は尽くし、自分のため、会社ため、最後まで貢献しよう。