中高生の夢として、「Youtuber」は悪い選択肢ではないと思う

人生観・仕事観

ほんの10年ほど前まで、中学生男子の将来なりたい職業は、

  • 1位 野球選手
  • 2位 サッカー選手
  • 3位 芸能人

が鉄板だった。たまに、警察官とか、漫画家とかもあったが、まぁ大体そんなものだろう。

おそらく、60~70代のシニアに聞いても、これなら概ね「そうそう」と納得すると思う。

しかし、2017年。ソニー生命の行ったアンケート調査では、

  • 1位 ITエンジニア、プログラマー
  • 2位 ゲームクリエイター
  • 3位 Youtuber

という結果になった。このあたりから、自分の子供がYoutuberを目指す、と言い出して、頭を抱える親が増えてきたのでないかと思う。

そして極めつけは、2019年の同調査。

  • 1位 Youtuber
  • 2位 eスポーツプレイヤー
  • 3位 ゲームクリエイター

前回、かろうじてマトモっぽかったITエンジニアが4位に落ち、ネット、ゲームだけで、上位全てを占めることになった。

Youtuberは、ゲーム実況配信をしている人も多いので、そういう意味では、ゲーム系でほぼ独占しているといっても過言ではない。この時代に生まれたかった、と羨ましがる30~40代のおっさんは多いことだろう。私もその一人だ。

確かに今までの価値観であれば、子供たちの将来が心配だ、という親が増えるのも、よく分かる。

とはいえ、である。

Youtuberも、そんなに心配するような悪い職業ではないと思う。

よくいわれる点でいえば、Googleがサービスを停止したら即死する、などの意見があるが、それは、普通の会社の倒産、リストラリスクと大して変わらない。むしろ、世界的大企業である分、聞いたこともない零細企業よりはマシなのではないだろうか。

また、生活できるほど収入を得られるYoutuberであれば、最悪、動画産業が終了したとしても、それまでに得た表現力、スキルで、普通の仕事をやっても、充分成功できるのではないかと思う。

成功する可能性がほとんどない、という意味では、芸能人や歌手と同じだが、Youtuberは、現実の仕事でも役立つスキルを身につけることが可能である。というよりも、スキルを身につけて、それを公開する方が、成功しやすいともいえるか。

つまり、「Youtuberとして大成する」ことだけを成功指標としたら茨の道だが、それ以外の資本を手に入れられる、と考えれば、Youtuberは決して悪い選択でないのである。

勿論、今の小中学生がそこまで考えているわけではないだろうが、古い価値観は捨て、もっと大局的、長期的な視点で、このアンケート結果を見ても良いのではないか、と思っている。

現在は多様性の時代だ、と言われて久しいが、結局はそれも口だけで、多くの人がそうは思っていないなと実感する。

多様性を認めているなら、この手のアンケート結果が出ても、「なるほど、そういう時代になったんだ」と返すはずが、大半が、「日本オワタ」という反応を示す。

結局のところ、ほとんどの人間にとって、多様性を認めるのは、あくまで「自分の理解できる範囲だけ」ということなのだろう。

ホームレスの人権を尊重しろ!とSNSで声高に叫んでいても、では、明日から貴方の家の隣に、浮浪者が100人住むのでよろしく!と言ったら、大半の人が顔をしかめるはずだ。

多様性を認めるとは、理解を示す、ということではなく、「自分事として落とし込めるか」ということである。

私も、それを常に考えていきたい。