昨夜は、前職の時、広告代理店の営業担当として知り合った方と飲んだ。
彼は4年ほど前に仕事を辞め、地元では3本の指に入るトップクラスの企業に転職した。今では商品企画の部署にいるらしい。
その中で、分かったのが、私の「田舎の企業に対する認識の甘さ」だった。
田舎の企業では、マーケティングのマの字もない。というのは、充分に分かっていたつもりだった。
だが、上場までしており、社員数もグループ全て合わせると4桁、海外展開もしている、という企業でさえ、
マーケティング専門の部署はなく、そもそも、マーケティングという考え自体がない。
とは思っていなかった。
自分の認識の甘さを反省しなくてはならない。リサーチが足りない。
彼いわく、「とにかくいいモノさえ作れば売れる」という考えから、上層部は全く脱却しておらず、戦略も全てトップの「勘」で進むそうだ。
あくまで、彼視点の見方なので、全てを鵜呑みにはできないし、トップが勘を頼りにするのは、別に否定しないが、前者はその通りなのだろう。
地元のトップクラスでそのレベルだとすると、マーケティング支援を行っていくという試みは、相当な茨の道だ。
私自身、前職でそれは痛感しており、マトモに事例を紹介し続けてもダメなので、自分の裁量の範囲で、成功体験を重ねて、少しずつ社内の成長を図ろうと思ったが、失敗に終わった。
周りがマーケティングを学ぶ意識がないので、成果を上げても、
「よくやった!」「君だから出来るんだな!(良く分からんけど)」「賞与は期待していいぞ!」
で終ってしまう。それに空しさを感じて、最終的には辞めてしまった。
なので、もう少し下地のある会社から、支援していきたいと思っていたが、どうも、今回の話を聞く限り、そこに期待するのは間違っているようだ。下地など、どこもないと考えた方がよい。
むしろ、今回の彼のように、マーケティングの重要性自体を、分かっている社員はいるのだ。
なので、会社規模や下地を気にするのではなく、あくまで「人」を見て選び、自分の考えを変えていける柔軟性と、覚悟をもった人とだけ、仕事をするべきだな。改めてそう感じた。
去り際、彼は、普段、こういう話が出来る人が一人もいない。今日は会えて嬉しかったといってくれた。私も、同じ感情をもった。数ヶ月の再開を約束し、別れた。
その時、私はどうなっているか。どんな話を彼にできるだろうか。
ひとつ、人生の楽しみが増えた一夜だった。