分析業務に、理系の知識はいらないが、データを「感覚」で話す人は向いてない

WEBの仕事話

WEBマーケティングの業務は、「分析」を避けて通れないので、理系じゃないとダメじゃないかと、心配する経営者がいるが、そんなことはない。

理系的な知識など必要ないし、そもそも、理系、文系で分けて、考える時代でもない。

ただ、分析業務を、誰かに任せるとしたら、データを「事実」として受け止め、「感覚」で話さない人間に任せるべきだと、これまでの経験から、強く感じている。

例えば、高齢者の交通事故がニュースになると、「やっぱり70歳以上に免許を持たせるのは危ないよね」という話になる。

しかし、統計的には、80歳以上は確かにリスクが上がるが、70代は、20代と大して事故率が変わらないと、データが出ている。

70代の免許を取り上げるなら、20代にも何かしないと、理屈が合わない。

また、少年犯罪がニュースになると、「最近の子は友達と遊ばないから、協調性が薄れて、こういう事件が増えるんだ」という話になる。

これはご存知の人も多いが、未成年の犯罪件数は昔に比べ、遥かに減少している。

しかし、そのように突っ込むと、へぇ、そうだったんだと、理解する人もいるが、それ以上に、

「ほんと?うーん・・・」と疑ったり、「そんなことはない」と断定する人が多い。

この場合、私とデータの信頼性が足らないだけでは、というのは、また別の議論として、

自分の意見が「感覚による思い込みだった可能性」。

そして、

「反証となるデータが存在する」という事実は、素直に受け止めないといけない。

それが、企業の分析者に求められる強さである。

特に、今の時代、WEBマーケティングの担当者なんて、各企業に一人いればよい、なんて現状だ。その人物が扱う数字の意味は、極めて重い。

残念ながら人は弱いもので、何かの施策をして、その結果を見た時、

自分の都合の良いように、その数値を捻じ曲げてしまいたいと、悪魔が顔を出す。

「本当はこうなって欲しかった」

「なのに、なんでならなかったんだろう」

「そうか、この前提がおかしいんだ」

ここまでは、誰にでもあるが、そこで、悪魔の声を耳を傾けてしまうと、もう後戻りはできない。

正しい数字がなければ、決定権者も、正しい判断ができないのだから。

たとえわずかでも、数字に手心を加えるのは、その信頼を裏切ることであり、両親、家族から教えられた、倫理観も捨てる行為といえる。

数値というのは、一つでも仕掛けを施すと、どんどん辻褄が合わなくなり、最後には、改ざんが自分にとって、当たり前となる。

なので、その最初の一歩を踏み出さない。分析者には、その強さが欲しいと思った。

さて、なんだか、厳しめのトーンで、なんでこんな記事を書いたかというと、

最近の情報商材系のトレンドなどを見ていて、こういう倫理観に欠けた人が、儲からなくなってから、企業に入り、ただWEBスキルの希少性だけで、もてはやされて、

数字を我が物として扱い、地方の良心的な企業に損害を与えられたら嫌だな、と思ったのが、まず一つ。

もう一つは、私が今している仕事で、なんだ。

少し数値がよくない箇所があるので、さっきから横で悪魔がささやいており、それを振り切るため、自戒の念を込めて、書いたのである。

「おっかしいな~こうだったらいいのにな~」とヒトリゴトを言いながら、10分ほどExcelの数値をポチポチしている、未練がましいおっさんが私である。

見かけたら、優しく微笑み、目を背けてくれると嬉しい。

では。