夢は、何歳でもつくれる

人生観・仕事観

先輩教員が20代男性教諭に激辛カレーを無理やり食べさせる、などのいじめをしていた事件が、連日報道されている。

第一報を聞いた時は、そのくらいのことで少々大げさでないか、と思ったが、実際にニュースで見ると、私の想像したような、飲み会での悪ふざけ、といったものではなく、凄惨な虐待であった。

これは言い訳のしようがない、と思ったが、いつも通り、お決まりの「いじめとは認識してなかった」という記者会見が行われていた。動画が出ているのだから、そりゃ無理筋でしょ。素直に認めて、自分なりに看過してしまった理由を正直に話した方が、まだ同情も集まると思うのだが。

被害男性は、教職者になることが、長年の夢だったらしい。過剰なストレスから、毎日吐き、学校に行こうとすると体が震えるような状態でも、子供たちに対しては、よき先生であり続けたそうだ。むしろ、邪気のない子供たちと接している時間だけが、唯一の安らぎだったのかもしれない。泣ける。

しかし、たとえ長年の夢だったとしても、そのような悪環境に居続けることは、人生において決して好ましい選択ではない。下手すれば自殺する可能性すらあった。

あくまで「教師」でありたい、ことが夢ならば、別の学校でも良いと思うので、思い切って、私立に変えたり、可能か知らないが、別の公立への転籍ができなかったのだろうか、と思う。

もちろん、それで失敗することもあると思うが、仮に全て不採用になったとしても、最終的には、塾や家庭教師など、「子供たちに何かを教える」という仕事はいくらでもあると思うし、そもそも「夢を一つしかないもの」と考えるのは危険だと思う。

私の場合、小学生の文集に書いた夢は「社長」だった。

周りの6割は、野球選手やサッカー選手、という時代なので、実に子供らしくない少年である。そもそも、「社長」って役職だから・・・。

まぁ、企業経営のつらさ、マネジメントの大変さを、嫌というほど学んだ今は、絶対選ばない道だと思うが、個人事業主(予定)なので、ある意味、夢をかなえたといえなくもない。

しかし、高校時代の夢は「建築家」であった。大学もその手の学部に進んだ。結果、建設コンサルタントになり、Uターンで食品会社に転職し、その後、WEBマーケターとして独立、現在にいたる。正直、自分でもよく分からないルートを辿っているが、それなりに満足している。

子供のころからの夢を実現し、さらに「成功」をつかむ、というのは、ほんの一握りの人でしか出来ないことである。

なぜなら、その職業につく所までは、自分の努力が大半を占めるが、その後、成功するかどうかは、「周りの環境」に大きく左右されるからだ。ぶっちゃけ運である。

なので、夢をかなえたと思っても、その後の環境が、自分に合ってないなら、そこに囚われるのは、時間、および人生の無駄であると、今では思う。

今回の彼の場合、教師になった所までは、彼自身の努力で成し遂げられたことだ。

しかし、いじめを行う先輩、それをフォローしない校長、といった外部要因は、自分の力ではどうしようもない。

ならば、「教師になりたい」という夢から、自分は教師になって「一体何をしたかったのか」、そして、それは他の職業ではできないことか?と見つめなおし、「もう一度、夢を見つける」という選択も、決して悪くないのでないだろうか。

私もアラフォーになって、新たな夢をつくった。

地方のWEB専門家、グロースハッカーになることである。道は遠いし、この年で勉強も大変だが、会社組織にとらわれず、自由に生きる毎日に、わくわくしている。夢は何歳でもつくれるのだ。

この被害教師も、一つの夢に固執せず、何個でも夢を作ってほしい。もしかしたら、学校は廃止され、全てオンラインで指導するような未来になるかもしれない。そうなった時、彼のような教師が必要だろう。それまで人生経験を蓄えるのも、一興ではなかろうか。

彼のような頑張る人が報われる世であってほしい。そう願っている。