マーケティングを仕事にするなら、高所得者の生活に触れよう

人生観・仕事観

先日は、ド田舎から東京まで遠征し、連日、テニスの楽天オープンを観戦していた。素晴らしいひと時を過ごせた。フリーランス最高。

さて、その間は、姉の家に泊めてもらったのだが、改めて思ったことは、「マーケティング」を仕事にするなら、「高所得者の生活に触れるべき」という考えである。

日々、5000円のマットレスで寝ている人間に、10万円のマットレスで寝る人間の気持ちは分からないし、

3000円の「やきまる」による一人焼肉に満足している人間に、5万円のアメリカン式グリルでBBQする人間の気持ちは分からないのである。

ちなみに前者が私で、後者が姉夫婦なのは言うまでもない。

私にはせいぜい、Amazonの星レビューなどで、品質を推測することしかできない。しかし、実際の所、高額商品ほど、星レビューだけでは正直あてにならない。

高額のため、自然に目が厳しくなるし、購入者の絶対数が少ないので、票がバラけるからだ。そもそも、数個程度のレビューなど、統計的な価値はないのが、当たり前なのに、つい、星3個程度だと、「なんだ大したことないな」と思ってしまうのが、一消費者の辛い所である。(口コミ自体は参考になるが、星の平均値に意味はない、という意味である)

ちなみに、上にあげた、マットレスも、グリルも、アマゾンのレビューは平均的だが、寝心地、使い心地ともに、素晴らしい商品だった。

私はそんな金を出せない、というだけで、値段が1/10であれば喜んで買うだろう。

つまり、私よりはるかに収入を得ている人間にとっては、価格はそれほど障壁にならず、あくまで品質で購入を決定することになる。

この感覚が、「高級品を実際に見たり、使った経験がない」と、中々身につかないのではないか、と正直感じる。

私は姉だけでなく、中小企業に勤める間も、長年、社長のそばで働いていた。最上の品を買うためには、金に糸目をつけない、という人種を、他にも知っている。なので、余計そう思うのかもしれない。

私自身は、無駄な金は一切使わない、という人間である。最近の若者を見ていると、そういう人間が多いように見受けられる。無料・低額で楽しめるサービスが世に蔓延しているので、自然なことかもしれない。

それはそれで結構なことなのだが、「マーケティング」という仕事をするには、それでは足らないと思う。身も蓋もない言い方をすれば、マーケティングとは「金を遣わせること」だからだ。

無論、押し売りではなく、その相手に本当に必要な価値を提供するのであるが、「その商品にそれだけの価値がある」という感覚は、実際にそれを使う生活に触れないと養えないと思うし、また、その感覚なしでは、相手の心を震わせるキャッチコピーや、デザインを理解することが出来ないと思っている。

自分で色々な生活を体験するのが、一番であるが、若者にそんな金はない。

なので、私が少しでも社会人経験をした方が良いと思うのは、社会人マナーを覚えるべき、とか、仕事を辛さを知っておくべき、とか、そういった話ではなく、上司や客を通じて、違う価値観をもつ住人への理解、具体的には富裕層の購入動機についての理解を深めることが、マーケティングにおいては重要だと思うからである。

最近は、社会人経験を殆ど積まず、HTML、CSSや、SEO、リスティング広告などのデジタル知識を学んだだけで、独立する若者が増えているように見受けられる。

それはそれで結構なことだと思うが、実際に企業の売上や利益を伸ばせたのか、という点で見ると、多くが成功しているかどうかは、正直疑問である。何人かそういう人間にあったが、デジタル知識は豊富だが、提案自体は薄っぺらいと感じることが多かった。

企業の成果を達成する、とうのは、そんなに簡単なことでない。自分に好きにできる、ブログやアフィリエイトで、数万~数十万の売上を出すという話とは、制約の面で大きく異なる。

高所得者の生活に触れる、その品質を実際に感じる、のは、ネットだけでは難しい体験だ。

できれば、若い人には、仕事や家族、友人を通じて、その経験を積んでほしいと思う。それが、自身のマーケティングレベルを一段階上げることにつながると思っている。