お客様に定期の解約理由は聞くだけ無駄である

会社やめるまでの軌跡

なんだか、また前回の記事の続きのような内容になってしまうが、気になったことがあるので、その件を書く。

それは、定期購入ビジネスについて、ユーザーに対し、「解約理由を聞く」という無駄なことをしている企業が、少なからず感じたからだ。

一言でいえば、解約理由を聞いて、答えるユーザーに99%は嘘である、といった所である。

会社での退職理由の記事でも書いたが、人は答えたくないことには、答えないものである。特に、自身にメリットがないことについては猶更だ。

解約理由を聞くことは、「男性が女性に別れる理由を聞くことに等しい」とも、通販業界ではいわれる。これも無駄である。

おそらくほとんどの女性は、男性を傷つけない優しい嘘を適当につくはず。

間違っても、「ほかに好きな人ができた」だの、「なんか醒めた」だの、いうはずがない。そんなことを言っても、何もメリットがないことを分かっているからだ。

男は女性に比べて、妙にロマンチストな所があるので、こんな時に、嘘はいないだろうと夢見る人がいるが、それはまさに幻想である。

同じ理由で、定期購入客も、解約理由を聞いたところで、本当のことをいう客は、ごく少数である。

「~のサービスが不満で」などと聞いて、社内で、「よしお客様の声を聞いて、即反映だ。スピードが命だぞ」と燃える人がおり、それはそれで結構なことなのだが、それでは足りない。

声を上げない多数派は、そんなことを考えてもいないかもしれない。

ではどうするのか、ということになるが、それは言葉を信用するのではなく、行動を信用するしかない。すなわち、デジタル行動観察である。

最近は、有料のツールを利用すれば、一人一人のユーザーの、購入前、購入後の行動を詳細に見ることは、それほど難しくない。

無料のツール、有名どころだと、GoogleAnalyticsのユーザーエクスプローラーなどがあるが、手間がかかるので、あまりお勧めしない。こういった分析はスピードが重要なので、月数万程度なら、金を惜しむべきではないと思う。(売上規模にもよるが)

たとえば、購入後のユーザーが頻繁にサイトのQAコーナーを訪れており、いかにも答えを探してるが見つからない、という導線で動いており、結果、何も問い合わせ記録がないなら、そのユーザーは不安か疑問を抱いたが、結局、問い合わせまではせず諦めた(または競合他社に興味が動いた)などと、推察できる。

その行動後、定期の解約申し込みをしたりしていれば、ビンゴである。

あとは、その行動をさらに詳細分析して、戦略にフィードバックするだけだ。

解約理由を聞く、というのはオペレータにも負担のかかる作業である。そのうえ、聞き取れた情報もあまり役に立たないなら、最初から聞かない方がよい。

ユーザーの利益を第一に考える。そういったビジネスを、できる限りしていきたいものである。