優しい取引先とは、「何も期待してない」から優しいのである。

会社やめるまでの軌跡

退職日まであと2週間となったが、それまでに、完全素人&向上心ゼロのサラブレッド2名をWEBマーケターに仕上げろ、という無理難題を押し付けられ、あまりの無理ゲーさに、心が折れそうになっている。

もう無心で、後は野となれ山となれ、と適当にやろうかと何度も思ったが、やはりそういう訳にもいかない。

何とかレベル5くらいにはして、終えられないか、と頭を悩ませているが、その道は暗い。

そもそも20代ならともかく、40代や50代の人間に対し、創造的な仕事を今からやらせる、というのに無理がある。

残念なことに、経営者も、本人も、それが分からないようだ。不幸である。

この数週間、教えて痛感したのは、この手の人たちが好きなのは、あくまで「作業」だということだ。

どれだけ熱心に見えようと、それは、決められたルール通りに、決められた手順通りにやることに限られる場合で、一歩でもそこからはみ出すような仕事は、断固として拒否する。

なぜか。

一言でいえば、「責任」を負いたくないからだ。

自覚のある、なしにかかわらず、自分自身は、常に安全圏から相手を否定する側でいたい、というスタンスから、その姿勢が生まれている。困ったものである。

取引先を紹介しても、あの人は優しい、あの人はきつい、という小学生のような評価をしている。

違うんですよ。あの人があなたたちに優しいのはね、あまりの素人っぷり、かつ、やる気のなさがみえみえなので、「期待してない」から優しいんです。

逆に、何とかしようと色々質問してくる人は、それを分かりつつも何とかしたい、と考えてくれているから、正確な情報を知りたくて、聞いてくるんですよ。

それをいい大人が、「きつい人」としか評価できないようであれば、もはや何もいいようはない。

私にできることはただ一つ。あとでどんな悪者扱いされてもいいので、自分の仕事だけ全うし、あとは無駄な心配はせず、会社を飛び立つだけである。

同じような立場の人がいたら、こう伝えたい。引継ぎは、ほどほどに。