人の悪口で成り立つ人間関係は、健全ではない

会社やめるまでの軌跡

先日、久しぶりに県外に住む姉と会った。どうやら現在の仕事(パート)を辞めるべきか悩んでいるらしい。経営者の人間性がひど過ぎる、というのがその理由だ。

私の義兄にあたる夫は、「パートでそんな悩むことなくない?さっさと辞めたら?」と、取り合ってもらえない、と愚痴っていた。私も正直、同感なのだが、実の姉が悩んでいるのだから、邪見に答えるわけにもいかない。

詳しく聞いてみると、ウチがホワイト企業に見えるほどのブラックぶりが明らかになった。退職系のブログとかを見ていても思うが、世の中には、私の想像もつかない酷い環境が山ほどあるのだと実感してしまう。

姉の勤務先の特徴だが、いわく、

・個人経営の花屋である

・社長は、社長以外の社会人経験ゼロ

・客にとって対応をコロコロ変える。金持ち、美人以外にはひどい対応。

・社員に罵詈雑言を浴びせるのは日常茶飯事。

・社員の悪口を、目の前で違う人に言う。

・自分を「神」だと発言する

・2つのゆで卵の写真をLINEで送って、どちらが幸せな卵か?などの謎質問への回答を、社員に強制する

以上、まさに絵にかいたようなブラックぶりである。

なので、結論としては、「辞めたら?」に戻るのだが、一体ためらう理由はなんなのか?と聞いてみたところ、どうやら「いい意味での人間関係」のようだ。

要するに、問題があるのは社長だけであり、ほかは「いい人ばかり」らしい。昨今の人手不足も相まって、自分が抜けることに気が引けるそうだ。わが姉ながら、実に「いい人」である。

それに姉がそう思っているだけで、実際は、仕事に熱心なだけで、少しずれている「よい社長さん」なのかもしれない。その人も。

なので、所詮、状況を聞いただけの私にいえることは、「辞めるべき」。その一点のみである。

確かに、良い人間関係は大事だ。だが、話を聞いていると、私には姉の職場の人間関係は、少しいびつに見えた。

だれもが社長を最悪といい、グループLINEで社長の悪口をいい、フォローしあうことで、成り立つ人間関係。もちろん、そんなブラックな環境に置かれれば、必然的なことではあるが、

たとえ相手が最悪の人物でも、人の悪口で成り立つ人間関係は、健全ではない、と私は思う。

私が今いる部署もそうだ。口を開けば、会社だの、社長だの、はてまた政治だのへの、悪口ばかりでコミュニケーションをしている。にも拘わらず、特定の人が抜けると、その人物への悪口が始まる。

こんな環境では、ただそこにいるだけで、気づかぬうちに健全な精神が失われる。私が退職を決めた理由の一つだ。

何事も否定から入る人間は、自分では何も生み出さない。創作の苦労をしらないから、否定ばかりできるのだ。よって、自分にとってプラスになることは何もない。

姉も、少し考えたようだった。ぜひ、プラスになる職場をまた探してほしい。決して「良いひとがち」がいる、という理由で、仕事を選ばないでほしい。それは過酷な環境で生まれた、ただ、傷をなめあうだけの関係かもしれないのだから。