私にとっては、ありふれたものだが、都会で生まれ、都会で育った人間。ましてや、誰でも名を知る有名企業でしか働いたことしかないような人間にとって、田舎の中小企業というのは、まさに未知の世界となるのかもしれない。
今回、私の退職にあたり、後任探しに奔走することになったが、知り合いを当たったり、ハローワークに求人を出す程度では案の定見つからず、初めて専門の求人サイトで募集をかけることになった。
その際、私が仕事内容についてのインタビューに答えるらしいが(辞める人間がするのはどうなの?と思うが、WEBの仕事内容を説明できる人間がほかにいないので、仕方ないらしい)
一応、きちんと答えられるように、改めて、田舎の中小企業とは、なにが魅力なのか、そもそも魅力などあるのか、ということを考えてみたい。
おそらく田舎の中小企業ときけば、思いつくイメージとしては、
①給料が安い
②ブラックが多い
③人間関係が大変そう
あたりではないだろうか。
実際、それは間違ってないのだが、いくつか補足させていただく。
まず、給料だが、確かに安い。確かに安いのだが、田舎の中小企業の場合、自身の裁量が大きく、できると出世が早い。競争相手が少ないからである。
よって、同じ年齢で比較すると、大手には負けるが、必ずしも、都会の中小>田舎の中小とはならない場合もある。事業規模100人以下のケースだが。(田舎の場合、そもそも100人以上の企業が限られるが)
実際は私はアラフォーで430万円ほどの年収だが、同じ事業規模でみれば、東京でも、そんなに差はない。(なお、時給で計算してはいけない)
大手であれば、優秀な人間が大勢いるので、多少できても、出世が遅れることがあると思うが、田舎の中小企業の場合、優秀な人間はとても少ない。
7~8割は義務感で仕事をしており、新たなインプットを入れる努力もなく、惰性で働いている人間ばかりなのが、正直な印象だ。自分では分かってないようだが、それは周りのレベルが低いから勘違いしているだけである。
なので、「マトモに仕事ができる」人間。締め切りを守り、相手の都合を考え仕事ができる人なら、田舎の中小企業でも、それなりの給料をもらえる可能性はある。
ただし、業種によるので、そこはリサーチが必要だ。
次に、ブラックが多い、人間関係が大変、という点についてだが、
これは間違いなくその通りである。
ただ、中小企業にブラックが多いのは、田舎に限った話ではない。また、人間関係も、大手企業では、逆に派閥争いが激しかったし、リストラ役を任せられたり、違う苦労があるので、どっちもどっちといえる。
私があえて、田舎の中小企業で働くメリットをあげるとしたら、
・社長のそばで仕事ができる
これに尽きると思う。
結局、会社とは経営者の考えを示すものである。良くなるのも、悪くなるのも、トップ次第だ。
私は特に社長直轄に近い部署だったので、余計そう感じるが、たとえそうでなくても、中小企業であれば、社長の動向や考えに、触れられる機会が多い。
大きい会社になると、トップに出会うのは、式典などを除いてほとんどない。私は最初に勤めた会社の時は、入社式くらいしか、社長に会うことはなかった。
社長といえど、所詮同じ人間なので、直接見れば、ある程度、人間性というのがわかるものである。すれ違ったときの挨拶や、何気ないふるまいから伝わるのだ。
そういう意味では、うちの会社は末期である。
業績が厳しくても、正面玄関に高級車で乗り付ける、従業員の気持ちを考えず、ビジョンともいえない空虚な話ばかりをする、朝礼にも来ない。すべて行動に表れている。
尊敬すべきでないトップなら、その会社に勤めるべきではないのだ。
その一番大事なことを、田舎の中小企業では、直接知ることができる。それは結局、人生を無駄にするかもしれない時間を短縮することにつながる。
これが、田舎の中小企業に勤めるメリットかな、と思う。
加えて、家賃が安いこと、飯がうまいこともポイントである。