WEB担当者の専門知識は、基本、評価されないものと知るべき

WEBの仕事話

私が14年ほど、田舎の中小企業でWEB担当をしてきて、一番しんどいと思ったのが、「自分の専門知識は、評価の対象にならない」という点だ。

誤解のないようにいっておくと、WEB担当者自体の評価は、他の社員と比べても高い。田舎の中小企業において、WEBの分かる人材、というのは貴重な存在だからだ。

だが、それは、希少な存在の時点で、すでに経営者にとって価値が生まれているのであり、本人のスキルや知識による所ではないのがポイント。

極端な話、そのWEB担当者が相当低レベルであり、マーケティングはおろか、GoogleAnalyticsさえろくに使えなくても、会社からの評価は、そんなに下がらないだろう。

会社にとって、「自分たちがよく分からないことができる人」と、という点に変わりはないからだ。これが、WEB担当者のモチベーションを著しく削ぐ。

そこで、これではいけない、と感じ、様々なセミナーに積極的にでたり、WEBフォーラムや、ニュースサイトで情報を仕入れ、Goolgleの動向、仕様変更などを、日々勉強するWEB担当者も多いと思う。

だが、残念ながら、その知識は大抵実らない。

評価する側に、ITに関する知見がないので、どれだけ知識を深めて。提案しても、それが戦略に生かされないという点も、もちろんある。

だが、それ以上に、そもそも、会社というのは、目にわかるような短期的な売上か利益を生むもの以外、評価が低いものなのだ。

なので、たとえインパクトは小さくても、明確な売上か利益という成功体験をつくるのが、WEB担当者には重要となる。

しかし、それが難しい。

WEB担当者一人で売上をつくる、という事業は稀だし、戦略面で貢献したとしても、大抵は不確定要素を多く含むので、「営業がうまくいったから成功した」とか、「たまたま運よく戦略が成功した」と、捉えられることが多いだろう。

実際、私もそんな体験ばかりだった。

だが、私がほぼWEB担当者一人の力で、明確な数字を挙げることに成功した例が一つある。

それは、WEB広告のインハウス運用(内製化)だ。

知っている人はよくご存じだと思うが、WEB広告というのは、多くの会社が代理店に委託している。その委託料は概ね広告費の20%だ。

ウチの場合、数百万の広告予算があったので、インハウスでその20%を抑えることができれば、月間数十万~百万の広告宣伝費を減らすことができる。

もちろん、売上を落としたら意味がないので、あくまで売上を維持したまま、という条件である。

当然、これはそう簡単なことでないが、逆にいえば、無理でもなかった。

実際にやってみると分かるが、広告のインハウス運用は、多少の専門知識さえ勉強したら、あとは、事業全体への理解度と、目標達成に向けてのモチベーション維持の方が、はるかに大切である。

なので、私は、中小企業でネット広告を出している会社は、皆インハウスでやるべきだと思っている。ついでにいえば、そう思ったからこそ、広告よりのWEBマーケターとして独立する気になったのだし。

話がそれた。

結論からいえば、私はインハウス運用に成功し、売上を維持したまま、広告宣伝費を、毎月数十万~数百万減らすことに成功した。

これでやっと、上層部も少し評価するようになった。

また、腕とやる気次第で、ネットの成果は大きく変わる、というのを、少しだけ理解してもらうことができた。

結果、私はWEBで自分の力を思う存分ふるい、成果を出す快感に目覚めてしまったので、独立することになったが、それもまた、そういうもの。

もし、明確な数値としての実績を出したい、と悩んでいるWEB担当者がいたら、思い切って、広告のインハウス運用をやってみることをお勧めする。

その際、現在の代理店担当者とは良好な関係を継続したまま切り替え、もしうまくいかなかったら、また代理店に戻せるようにしておくことも大事である。