実に面白い記事だった。特に、コピーライティングなど、広告の仕事をする人にはぜひ読んで欲しい内容である。
最近は、「女性にこういう傾向がある」という記事を出すと、細かい中身を読まず、すぐ炎上するることが多いが、これはタイトルが真面目なので、大丈夫だろう。それでも燃えるのが、言葉狩りという奴なのだが。
講師の谷本理恵子氏は、中小メーカの通販トップ責任者から数々の成功を収め独立。現在の専門分野は、30代以上の女性に向けた化粧品・健康食品のセールスライティングらしい。この道のプロ中のプロである。
私は10年以上、女性だけの部署で仕事をしてきたので、女性と男性では、価値観、判断するポイントが大きく異なることは、身をもって知っていた。
とはいえ、女性はスペック・性能の話よりも「共感」を重視する、とか、論理的な文脈よりも、「イメージ」を重視するという程度であったが、今回の記事を読み、その違いを、より明確に、理解することができた。
記事の内容を端的にまとめると、下記のような感じである。
- ①男性と女性では、現状認識が違う
- ②男性と女性では、写真から感じるものが違う
- ③男性と女性では、文章の読み方が違う
この内、②、③は、何となく体感で知っていたが、①は完全に意識してなかった。
現状認識における男女の違いを、講師はシンデレラの絵で説明してる。
いわく、
男性は、「使用人となって掃除している自分」を現実(リアル)と認識し、「お城や舞踏会」は夢と捉える。
しかし女性は、「お城や舞踏会に参加している自分」を現実(リアル)と認識し、使用人となって掃除している自分」は仮の姿と認識している、という事である。
いやいや、女性はそんなバカじゃないよ、という意見は、また違う。
ここでいう現状認識とは、どのような欲求を持つ傾向があるか、という深層心理の話である。
要するに、女性は、「今の自分は間違った環境にいる」という欠乏感を常に抱いている(傾向が強い)というのが、男性との明確な違い、であり、「これがあれば、本来の自分に戻れるかも」が、女性の強い購入動機ということなのだ。
これは確かに、思い当たる節がある。女性に衝動買いが多いのも、これが理由だそうだ。
だから、女性向け製品のキャッチコピーでは、
〇〇だから、〇〇になれる!という論理的説得力よりも、
「本来の自分を取り戻す」「運命を変える」というフレーズが効果的となる。
これは、男性が自分の物差しだけで考えていると、なかなか出てこない訴求ポイントだ。
私もこれまで何度もコピーを書いてきたが、切り口を沢山考えても、それが男性主観のものばかりだと意味がない。消費者の半分、いや購買力で考えれば、7~8割は女性なのだから。
②の写真についての意見は、あるある、と思うことが多かった。
女性の笑顔の写真。記事中にはA、B、2種類の女性の写真があるが、男性の目には、どちらも、ただの笑顔の写真に見える。
しかし、女性視点だと、Bは「男性に媚びている嫌な女の写真」になるそうだ。女性こわっ、と思うが、これは実際よくある話。
私も、部署でよく、女性陣がとある写真について、あれは媚びてる顔だの、いやらしい顔だの、ガールズトークに花を咲かせているのを、聞いたことがある。
これについては、真贋の見極めが無理なので、素直に女性の意見を聞くのがいいだろう。
そして、最後の③。文章の読み方についても、多くはあるあるだったが、参考になる意見も多かった。
女性は文章を読まない傾向がある、というのはよく感じていた。
勿論、読む人は読む。だが、ライターなど、文章を書く仕事をしてない女性は、本当に読まない人が多い。雰囲気で読む。
WEB担当者として、記事で参考になったのは、ヒートマップ分析での注意点だ。
ヒートマップを知らない人は適当にググって欲しい。ようするに、サイトでどの部分がよく読まれているか、色分けで分かりやすく表示する機能だ。よく読まれた箇所ほど、赤くなるようになっている。
しかし、これはあくまで、視点が止まっている(スクロールが止まっている)箇所を、「よく読まれた」と判断しているに過ぎない。
今回の記事では、女性は、ポンポンと読み飛ばすので、視点が止まった箇所は、「ただ読みずらかった」にすぎず、必ずしも有益なコンテンツとして興味をひかれたわけではない、という点に注意が必要と、書かれいていた。この視点はなかったので、とても参考になった。
このように、女性だけの職場で10年以上働いても、分からないことばかりである。それだけ、男性と女性は違う生き物なのだ。
商売をしていくなら、女性の視点、考え方は避けてとおれない。身に付けるのは、無理なのだから、フリーランスになっても、女性の協力者を、しっかりつくっておこう(苦手だけど)。
そう思った。