「皆勤手当」という制度を聞いたことがあるだろうか。
大手に勤めている方々は、ご存じないかもしれないが、中小企業の一部には、「皆勤手当」というカビの生えた制度が、いまだ存在する。
ようは、一度も会社を休まなければ、給料やボーナスに手当が付く、というものだ。
ハッキリ言う。
昔ならいざ知らず、いまだに、こんな制度を継続している会社は、即辞めた方がいい。
社員の心、時代を読む感覚と、変化を起こす勇気が、あまりにもなさすぎる。
その金を、会社に貢献した人に、インセンティブとして回した方がなんぼかいい。何故、それが分からないのだろうか。
私がいた会社も、例に漏れず、「皆勤手当」を採用していた。
半年間、一度も休まなければ、ボーナス時に数万の手当が付くものだ。
ずいぶん厳しいと思われるかもしれないが、これでも昔に比べればマシである。以前は、有給でも、使うと手当はもらえなくなっていた。
しかし、改善後も、遅刻はNG(雪や事故渋滞が理由でも)、など、よく分からない制度であった。
当然、もらえなくなることが分かった時、社員のテンションはだだ下がり。数日は、仕事に対するモチベなど皆無である。
はてさて、この制度。一体誰のための制度なのだろう、と考えてしまった。
そもそも、「皆勤手当」という発想自体が、もう古い。
24時間働けますか、などという社畜ソングが流行る時代の遺物だ。
これでモチベの上がる社員など、今の時代、いるはずがない。むしろ、逆。
新卒なら敬遠する材料にすらなりうる。
重ねて言う。なぜ、それが分からないのだろうか。
私は、長年、中小企業のトップのそばにいたので、その一端は分かる気がする。
彼らは、「社員は時間があると遊ぶもの」という認識があるのだ。
なので、同じ給料を払うのであれば、できるだけ多くの時間、会社に拘束しないと、「もったいない」と思っている。
前者に関しては、確かに同意する所もある。時間が余れば、自分に出来る仕事を探すのではなく、ただ遊ぶ、という社員は大勢いる。
しかし、それは、仕事の振り方、ようするにマネジメントの問題であり、拘束時間を増やした所で、解決するものではない。さらにいえば、その程度の人しか来ない、という人材の問題でもある。
また、出来る限り拘束しないと「もったいない」という考えは、社員を労働のコマとしかとらえていない思想の現れである。
私は、社員をコマ扱いするトップについて行こうとは、もう思わないし、
仮に、心の底ではそう思っていても、それをおくびにも出さない人間に師事したい、と考えている。
なので、結論に戻るが、いまだに、「皆勤手当」などという、誰も得しない制度を採用している会社は、早く辞めた方が良いし、新卒の方は選ばない方がいい、ということだ。
「こんなの絶対おかしい」
「えー、今時こんな制度あんの・・・」
と思ったことはないだろうか。その直感は正しい。
そんな会社一杯あるし。友達も同じみたいだし。
などというのは、全く関係のないファクターである。判断を見誤らないように、あくまで、自分にとってのプラスを考えよう。
ちなみに、ずる休みの抑止力として必要、という会社もいるかもしれないが、それは、そもそも、解決のベクトルが間違っていると思うし、そんな手段しか思いつかない時点で、その会社に未来はないと思う。よって、同じ。
皆勤手当の有無。会社の見極める手段の一つとして、活用して頂きたい。