違うのは、「対象者」と「安全、有効性」
こんにちは。さぼてんです。10年以上、食品、健康食品を扱う業界にいるので、一般の人が意外と知らなそうなこと、役立ちそうなことを、どんどん発信していこうと思ってます。まず、「薬」と「健康食品」は何が違うのか?です。
これ、業界の人でも、意外とすぐ答えられない人もいるんじゃないかと思います。実際、私は健康食品の専門家である「食品保健指導士」という資格をもっていますが、これが試験問題に出たくらいですから(笑)。結論から、先に書きます。
- ①対象者が違う
- ②安全性、有効性が違う
一言でいえば、この2つです。さらに詳しく説明します。
健康食品は、病気の人が対象ではない
医薬品の対象者は、病者。つまり、病気の人です。これは「それはそうだ」と皆さん思うでしょう。
そして、健康食品の対象者は、「健常者」です。つまり病気ではない人が対象です。トクホだろうと、最近増えてきている機能性表示食品だろうと、これは変わりません。
そう聞くと、「それはそうだ」と「いやいや違うでしょ」に分かれるんじゃないでしょうか。なぜなら、病気の予防、改善に期待して、健康食品に高いお金を払い、継続している方は少なくないからです。
誤解をさせたくないのですが、これは法律の定義の話で、健康食品が治療や予防にまったく役に立たないとか、そういう意味ではないです。ただ、健康食品は病気を治す目的のものとされていないので、エビデンス(科学的根拠)が医薬品に比べて、とんでもなく低い商品が横行しているのは紛れもない事実です。
健康食品は、ヒトの臨床試験をほとんど行っていない
エビデンスについては、またどこかで話したいと思いますが、ようは、どのレベルで、効果を確かめているか、ということになります。
試験管実験なのか、動物実験なのか、ヒト臨床試験なのか。細胞に効いたからといって、動物に効くか分かりません。動物に効いたからといって、人間にも効くとは限りません。さらにいえば、1人に効いたからといって、みんなに効くとは限りません。
医薬品は、このエビデンスを非常に厳しいレベルでクリアしたものだけが承認されます。しかし、健康食品は、ヒトどころか、動物レベルでさえ、検証されていないものが、非常に多いです。
医薬品には、必ず「規格基準」があります。〇〇という成分は、この基準を満たさないと認められないというルールです。これがあるから、医薬品は常に安定した品質、安全性が保証されています。
しかし、健康食品には、基本的に基準はありません。だから、同じ成分の健康食品でも、会社によって品質がバラバラで、価格もバラバラになるのです。(正確には、いくつか基準が決められているものもあります。ただここで問題にしたいのは、その基準がない健康食品の方が圧倒的に多いという点です)
健康食品の正しい選び方は、宣伝文句より、企業を信頼できるか
どの健康食品のエビデンスが高いかどうかは、一般の人にはまずわかりません。せいぜい、トクホだから少しは効くだろう、大手の会社が作っているんだから大丈夫だろう、くらいが判断材料でしょう。また、非常に心苦しいのですが、「高い商品なんだから効くはず」という悲しい理由で、商品が選ばれている面もあります。
残念ですが、「大手」でも、「高く」ても、エビデンスが低い、つまり効果が期待できない商品は、少なくありません。なぜなら、健康食品は、健常者が対象のものであり、そこまでの基準を国に求められていないからです。つまり企業の自社基準、どんなものを売りたいか、という良心に委ねられているのが現状です。
ですから、その企業を見抜く力、どこまで信頼できるかを判断するポイントが、健康食品を選ぶ上では、最も重要だと思います。その業界に長く身をおいた経験から、それを少しずつ、このブログでも紹介していければと思っています。