WEB広告運用の実力は、会社でなく、チームでもなく、個人で決まる(後)

WEBの仕事話

前編、中編はこちらからお読みください。

会議で担当者に一言もしゃべらせない会社には要注意。

そして、新しい代理店に広告運用を任せて1年。ついに結果は出ず、改めて、代理店の担当者と上司、社長が、当社へ説明にやってきました。私は、この代理店が、担当者替えを含めて、どのような問題があったか、改善点をどうすべきか、を提案してくることを期待していました。

ところがです。行われたのは、

  • 先方の社長による、現担当者への叱責(は?)
  • 担当者は最後まで一言もしゃべらず、社長が今後の戦略説明。
  • 今までの何が問題だったかは、すべて棚上げ。チームとして、会社としての体制は問題にせず。担当者替えもなし。

という驚く説明でした。

私も少ない人生経験ですが、分かります。こういう時に、社長だけ一方的にしゃべり、連れてきた担当者に一言も説明させない会社は、100%クソ会社です。

しゃべらせる気がないなら、連れてこなければいいのです。そして社長が自分に責任があると説明すればよい。

わざわざ連れてきたのは、こちらの追及を、全てその担当者のせいとして、スケープゴートにし、経営陣にはいい顔して、とにかく契約は続けよう、という事しか考えていないからです。

私はこれで、この代理店に完全に愛想が尽きたんですが、残念ながらウチの経営者はそう考えませんでした。後に調べたんですが、先方の社長は、高級ブランドで富裕層を相手にする営業を、長年続けたキャリアの持ち主でした。

だから、よく分かってるんですね。田舎の中小企業の社長が、どのようなトークに弱く、どうしたら落とせるのかを。私には、よく分かりませんでしたが、個人的にあまり好きではないスキルです。

残念ながら、すぐ契約解除とはならなかったのですが、私はもうこの会社は信頼できないと思い、恥を忍んで、もう一度、東京のWEBコンサル会社に相談しました。

広告運用会社を、会社名、規模だけで選ぶと失敗する理由

今度も、一度コンペで選んだ会社の何が問題だったのか、とても丁寧にヒアリングしてくれました。マジ感謝です。

しかし、今度は残酷な話もされました。

東京のコンサル会社の方でも、色々と実態を調べてくれたようなのですが、

  • おそらく、当社の広告予算では、東京の会社に頼んでも、 優秀な担当がつく可能性は低い
  • 優秀な担当を付けたいと思うなら、2000~3000万円/月の広告予算は出さないと無理だろう。

という話でした。

正直、当社の事業規模では、その広告予算は無理です。詳しく聞いたところ、

  • 今はWEB広告運用会社は、どこも急成長中で、人手が足らず、いろいろな分野から新人を集めている(未経験でも)
  • なので、広告予算がそれほど大きくない会社には、新人か経験の少ない担当がつく可能性が高い。
  • 正直、WEB広告運用はチームで動くといっても、たまに上司が相談にのるくらいで、ほぼ個人の力量に任されている。「会社の規模が大きい」「実績がある」は、優秀な担当がつく根拠にならない。
  • 優秀な担当者は、それだけ高額な報酬も欲しいので、月数百万程度の予算では、なかなか受けない。

という厳しい現実を叩きつけられました。

しかし、これを聞いて、改めて考えると「アメリカっぽいな」と思いました。

よく考えたら当たり前なんですよね。日本にいると、つい日本の視点で考えがちですが、ネットを牛耳ってるGoogleは、そもそもアメリカの会社。すなわちネット広告運用とは、個人としての能力に長けた人が力を発揮できるシステムになっていくのが自明の理だなと。

大切なのは、会社ではなく、「人」を紹介してもらい、「人」をプレゼンで選ぶこと

とはいえ、会社のために、ここで諦めるわけにはいきません。結局、色々考えた末、改めて、東京のコンサル会社さんにお願いしたのは、会社ではなく、人を紹介してもらう事。

今度は、WEBコンサル会社の人が直接人間性も知っており、信頼できるそれぞれ違う会社の2人を紹介してもらい、直接、担当する人間をしっかり面談した上で、この人なら任せられそうと考え、外資系広告代理店の1人に決めました。

結果は、大正解でした。もちろん、最初は試行錯誤の毎日なので、数か月は結果が出ませんでした。

でも、今までと違い、担当者と日々、今なにをやっていて、何を目標としているのか、そして、失敗した施策のデータはどう生かすか、をすべて共有できました。なので、少しずつ、CV、CPAも回復していくのを感じていました。

そして契約して1年後、見事に最初のプレゼンで約束したCV、CPAの目標を達成し、同時に過去最高の実績を記録することができました。

結果が出たことも嬉しかったですが、何より、仕事をしていて「楽しい」と思える担当者に出会えたことが、本当にうれしかったです。

地方の会社が、信頼できるWEBパートナーを選ぶポイントは

長々と話してしまい、申し訳ありません。地方の会社が、WEB広告運用会社を選ぶとき、気を付けた方が良いポイントは、まとめるとこんな感じです。

  • WEB広告運用の実力は、会社でも、チームでもなく、個人で決まります。
  • しかし、「東京の会社だから」、「規模が大きいから(50~100人以上)」「売上も高いから(50億以上)」は、優秀な担当者がつく根拠にはなりません。
  • なぜなら、優秀な担当はどこも引っ張りだこで、月数百万レベルの広告費の案件に携わる余裕はないからです。むしろ急成長している会社は、経験の低い新人がつく可能性も高いです。
  • とはいえ、私が実際出会えたように、やりがいを重視して仕事をしている優秀な方も少なくありません。「会社名」では選ばず、そういった個人にツテのある知り合い、取引先を頼りましょう。
  • そして重要なのは、必ず担当者と面談すること。お願いしてもプレゼンに連れてこないなら、その時点で切りましょう。
  • 優秀な担当者は、確実な成果を出すため、常に正確な情報を求めています。成果をだすため、こちらから積極的な提案、情報提供をしましょう。成果を出すために隠す情報なんて、正直、そんなに無いですよ(上場企業なら別かもですが)

以上です。私のように5年も苦戦することなく、悩める地方のWEB担当が、良いパートナーに出会えることを願っています。