トクホと機能性表示食品って何が違うの?

食と健康

こんにちは、さぼてんです。今回は、健康食品の中で良く話題となる、トクホ(特定保健用食品)と、機能性表示食品の違い、についてお話しします。

一番の違いは、「許可されたものか」「届けられただけのものか」

この2つの違いを説明するには、色々と前提の話があるのですが…。まず結論を先に書きます。

トクホ:許可制。製品のヒト臨床試験が必ず必要。

機能性表示食品:届け出制。製品のヒト臨床試験は必須ではなく、成分のレビューでOK。

  • ※現在、9割以上の製品が、成分のレビューだけで登録されている。
  • ※自社の研究成果がなくても申請できるので、独占が難しい。

という感じでしょうか…。
おそらく実務に携わってない方には、よく分からないと思うので、もう少し順序立てて、説明します。

トクホは、消費者庁がその効果を認めたもの

まず、一般の方で、トクホと機能性表示食品の違いが分かる方は殆どいないと思います。製品に書かれる宣伝文は、ほとんど同じです。

(例)
トクホ:血圧が高めの方へ
機能性表示:血圧が高めの方へ

うん、同じですね。

そもそも、トクホは聞いたことがあっても、機能性表示は、何かニュースで聞いたことあるかも…というくらいの認識なのが、普通の感覚ではないでしょうか。

トクホは「許可制」。厚生労働省が、厳しい試験を潜り抜けた製品に、確かに(一定以上の)効果が期待できる、とお墨付きを与えた製品になります。あの有名なバンザイマークに消費者庁許可と入っているのが、その証です。(ちなみに消費者庁に移る前は、「厚生労働省許可」と記載されていました)

有名なトクホのマーク

なので、トクホはヒトの臨床試験が必須となっています。ヒト臨床試験はある程度の人数で行なわないと、統計的に有意差がでないので、億単位の非常に高額なコストが必要になります。これが、中小企業に、トクホの取得は難しいといわれる所以です。

機能性表示食品は、消費者庁が「許可」をしたものではない

そして、2015年4月よりスタートした新しい制度が「機能性表示食品」です。細かい違いはあるのですが、基本的に、トクホと同じような機能性を表示することが可能です。
そして、一番の違いは、「許可制」ではなく「届け制」ということです。

ん?どういう事?
と思うでしょう。

簡単に言えば、「届け出制」とは、
消費者庁が

「うん!きちんと指定の書式で申請したね!不備もない!なら届け出は受理するよ!」

と言っただけで、「効果を認めて許可」したわけではない、という事です。
なので、機能表示食品には、「消費者庁許可」と書かれたマークは入っておらず、別のマークもありません。

いやいや、許可したわけじゃないのに、同じような効果を書いていいっておかしくね?と思うかもしれませんが、これが日本の機能性表示食品の制度です。

正確には、アメリカのサプリメントのヘルスクレーム制度を真似て、現政権が導入したのですが…。ただ、向こうは、全てが「自己責任」の国なので、良いのかもしれませんが、既にトクホがある日本の実状に合っているか、消費者への周知が適切だったかは、少し疑問ですね。

また、機能性表示は届け出だけで良いので、製品のヒト臨床試験も必要なく、成分のレビューだけ良いことになっています。

成分のレビューとは、分かりやすく言えば、効果を証明した論文が出ていればよいという感じです。(例えば、「グルコサミン」という成分について、「膝に良い」というヒトレベルで示した研究成果の論文が、国内でも海外でもあればOKという感じです。(少し乱暴ですが)

このため、ある企業が申請すれば、他社がそれをパクり、申請することが可能です。そのため、機能性表示食品は短期間で爆発的に増え、誕生して30年近く経つトクホの約1000件をあっさり抜き、平成30年末の時点で、1500件を超えるほど、広がることになりました。

まとめますと、機能性表示は、トクホに比べ、手軽に健康効果を表示することができる食品という事です。

結局、トクホとか機能性表示って効くの?効かないの?

こちらもよく聞かれる質問です。私も資格の講習や、仕事のつながりで、大学教授や、食品栄養学の専門家に聞いてみましたが、意見は大体同じです。

  • 飲まないよりは、飲んだ方がよい。一定の効果は期待できる。
  • ただ、薬に代わるものではないし、普段の食事に気を遣わなくてよくなるものでもない。
  • ようはバランス。

という回答です。

トクホ>機能性表示は、間違いないですが、どちらにしても、その効果は、限定的です。
血圧に良いといわれるトクホを飲んでいたら、血圧が上がる食事をしても大丈夫というものではなく、あくまで補助的、という立ち位置のものです。

トクホ、機能性表示は、一定の効果が期待できるものですが、あまり高価なものを購入して、逆に食生活を乱しては本末転倒です。できるだけ、生活に余裕のある範囲で利用しましょう。