驚いている。それなりにITには詳しい自信があったが、日本の技術は、私の想定をはるかに超えて、進歩していたらしい。
先日はYahoo広告の試験を受けるため、休みをとっていた。そして、無事合格したのだが、本日、出社すると、机に一枚の紙が置いてあった。
見たところ、どうやら先日提出した工場応援のシフト表のようである。なぜ、また私の机に置いておいてあるのだろう。
私は、他部署からの工場応援という制度には断固反対の立場だが、
気持ち的にそうだ、というだけで、業務命令に従わないわけではない。
工場が人手不足でいっぱいいっぱいな状況も、工場の上層部が、経営者と現場との板挟みで、血尿が出そうなほど日々悩んでいるのも知っている。
なので、わが部署からも可能限り人員を出そうと、応援シフト表をつくり提出した。
私が一方的に決めると、またブーブー言われるので、各自、応援に出れそうな日は自分で判断してもらい、記入してもらった。これなら丸く収まるだろう。
そのシフト表が、また私の机にある。中を検分した所、驚いた。私が提出した時とは、まるでシフトが変わっている。
具体的には、本来、午前から午後まで入るはずの応援が、各自、半分に短縮されている。確かに、半日だけ応援に入る人もいるが、それは業務上、1日フルに抜けるのが難しい部署だからだ。ウチの部署は、幸い暇人しかいないので問題ない。 最近は、AIが自動的にシフト調整を行うようになったのだろうか。
不思議に思い、表を持ち上げた所、ヒラリと紙が落ちた。そこには手書きでこのように書かれていた。
「お休みの間に申し訳ありませんが、年齢的、体力的に、1日工場に入るのは難しいとの判断から、半日に変更させていただきました。部長には直接話して、許可をとっています。これは部署全員の気持ちです。よろしくお願いします。〇〇より」
なるほど。なるほど。
ようするに、自分たちの判断で入れたシフトを、「やっぱ工場勤務はしんどいよねー」となり、所属長である私が休みの日に勝手に変更し、別部署の部長の許可を取り、工場に提出しました。という事らしい。
残念。AIの仕業なら仕方ないと思ったのだが、完全に人為的なものだったか。
私に言わなかった理由は想像がつく。「は?」と言われるのが目に見えていたからであろう。それはそうである。
体力的にもクソも、工場応援は、一人、週に2回ほどしかない。しかも、重いものを運んだりするわけでもなく、工場に50歳以上の人は大勢いて、毎日働いている。
ウチの部署は言葉を選ばず言えば、半分以上、ネットで遊んでいる人達だらけなので、フルで工場に入っても全く問題ない。こんな時くらい会社の役に立って、給料分の仕事をしてもらおうと思ったのだが。
正直、やたらと他部署のシフトを気にしていたので、嫌な予感はしていた。彼女たちは、基本、自分の頭で考えず、他人との比較でしか自分の考えを持てない人達なのだ。
自分たちでシフトを決めた時はそれで良いと思ったが、他部署のシフトに半日だけの人がいるのを見て、考えを変えたのだろう。そこで、上長にいわず、勝手に行動する所が素晴らしい。AIにはできないことだ。
ふと、小学5年生の頃、クラスのみんなで、担任の先生へ請願書を提出したことを思い出した。
その先生は女性だったが、中々体罰が強烈で、今なら間違いなくネットで暴力教師と晒されるような先生だった。そこで、皆で「もう叩かないでください」と寄せ書きのように色紙に書き、直に先生へ渡したのである。
当時は子供だったから分からなかったが、先生が相当なショックを受けただろうことは、想像にかたくない。今思えば、私のクラスはかなり問題児が多かったので、先生の指導も致し方ないと思った部分もある。勝手な思い出補正かもしれないが。
今回、彼女たちがやったことは、小学生時代の私と変わらないレベルである。もう今更驚かないが、世の中にはこんな精神年齢の低い人たちが沢山いる、という事を学ばせてもらったことには、この会社に感謝している。
ちなみに、なぜブログに愚痴るだけで、直接、指導しないの?と言われたら、無駄だからである。
こんなことは今まで何度もあり、さらに、彼女たちの内、一人は経営者一族の取締役だからである。取締役がOKしているのに、たかが所属長の私が反対したら、組織が成り立たない。それも、こんなアホな内容で。
部長がOKしたのは、私と同じ考えで諦めているからである。本日も、互いに、苦虫をかみつぶしたように、アイコンタクトを交わすだけでお互い分かり合えた。
私も部長も、1年以内に、会社を去る身である。後任が誰になるかしらないが、この小学生ワールドを秩序ある世界に変えられる人物が、薄給で応募してくるのを、陰ながら期待したいと思う。