上司の「判断は君に任せる」ほど、当てにならないものはない

人生観・仕事観

先日、とあるコンサル会社の社長のブログで、「ウェブ制作会社を選ぶ際は、会社ではなく、担当者を見るべき」と言われていた。その通りだと思う。

ただ、自身の経験から、それが難しい面が多々あることも知っているので、

「では、どうしたら良いだろう」と、しばし考え込んでしまった。

私の場合、数年前から、広告運用会社は、会社規模や実績よりも、担当者個人を見て選ぶべき、という結論に達していた。

その辺の経緯は、過去記事に書いた。

だが、中々うまくいかなかった。

何故か。

それは、どの会社を選ぶか、という裁量権は、

「一担当者ではなく、上司(決定権者)にある」

からである。

そんなの、組織として当然でしょ?

と言われると思うが、

中小の事業会社において、WEBに関しては、役職上、上司がいるだけで、担当者との理解度、リテラシーの差が著しいことが往々にある。

一言でいえば、「分かっていない」。

なので、事業全体の方向性や、予算に重要な影響を与える、KPIの設定や、LTVの試算などは、完全に担当者に任せっきりで、チェックもしないのに、

「会社選び」には、自分の勘を頼りに、どんどん口をはさんでくる。

金、責任の問題、というなら、むしろ前者の方が影響度が大きい。

会社選びは、正解が分からないが、分析値自体には、明らかに間違いの入る余地があるからだ。

つまり、経営の優先度で言っているのではなく、単に、

「自分の分かることは突っ込む。分からないことは突っ込まない」

というだけの話である。

それなら、そうと言えばいいのに、下手に体裁を取り繕うことになるから、互いに面倒なことになる。

私の場合も、

「WEBに関しては、君に一任した」

「判断は君に任せる」

と何度言われただろうか。

これを額面通り、受け取らないのが、正しいリーマンの姿なのかね。

その通り、自身の判断で、担当者を見て、会社を決め、いざ稟議書を提出、という段階になると、

「君の判断も分かるが、どうだろうな。あの会社は若すぎないか」

などという、突っ込みが入る。

「いや、担当者の理解力、本気度、など、色々勘案するとこっちですよ」

と話しても、

「うーん。しかしね。やはり若いからね・・・」

と返され、結局、私が諦めて稟議書を変えるまで、それは続いた。

結局、「若い所は信頼できない」という、上司の価値観だけで、私の担当者で会社を選ぶ基準は反故された。

数年後、代理店選びがようやく成功したのは、たまたま「上司の勘」と、私の選定が一致しただけのことである。これに、約4年が費やされた。

なので、「会社を選ぶ時は、担当者を見て選べ」というのは、その通りなのだが、それをするためには、

決定権者がその重要性を理解する

ことが必要になる。

私の感覚では、おそらく、良質な書籍やサイトをいくら勧めた所で、効果はない。

「へぇーなるほど。これは我々も勉強しないとね」と言って、それでおしまいだ。

これについて、私は今でもどうすれば良かったか、正解は分からない。

ただ、上司自身が、アクションを起こさない限り、理解してもらうのは無理と思っている。

なので、そういう気配が見えないなら、おそらく時間が解決してくれるものではないので、担当者はその会社に見切りをつけ、新しい生き方を考えることも大事ではないか、と考える。

時間は待ってくれない。

停滞は、衰退なのだから。