他人だけでなく、自分も騙すのはやめよう

人生観・仕事観

一番だますのが、楽な相手。それは、子供でも、世間知らずの大人でもない。

そう、自分である。

自分をだますのは簡単だ。端的にいえば、「自己正当化」のことである。

誰しも覚えがあるのではないだろうか。

何か頼まれた仕事を、忘れてたとする。

気付いた瞬間は「あっ、しまった」と思うのだが、その後、

「そもそも、急に仕事を振ってくる方が悪いのではないか」

「元々、忙しいからすぐ出来るとはいってないし」

など、キリッと自己弁護するパターンである。

ここで踏みとどまり、迷いを振り切って、自分の否を認められるなら、素晴らしい。自身の人間性に自信をもっていいと思う。

だが、残念なことに、そうでない人間が、世の中には数多い。

そんなことはない、という人は、余程「できる人達」に囲まれた環境で育ったのだろう。幸せを感じてもらいたい。

酷いのになると、完全に自分を騙すことに成功する。すなわち、自身の脳内における事実の歪曲である。

「よく考えたら相手も悪い」というレベルでなく、「完全に相手が悪い」という思考にチェンジするのだ。もはや罪悪感など、微塵もない。

ちなみに、ウチの社長はこのパターンである。実に迷惑極まりないことである。

とはいえ、経営者には、この自分を騙すというか、一種の洗脳力も、ある程度必要なのではないか、と思うときもある。

そもそも、マトモな神経をしていたら、田舎の中小企業を何十年も経営できないような気もする。

だが、結局の所、自分の脳は騙せても、心は騙せないのではないだろうか、と最近は思うようになった。

表面上は騙せていても、幼い頃から醸成された、心の奥の人間性が、それを否定するのだ。

その歪が、結果、経営者に多大なストレスとなって、表れているように、私には感じる。

経営者は自身の不安を、気軽に誰かに相談できない。会社の信用にかかわり、これまで、何度も騙されたり、裏切られたりを経験しているからだ。

だから、仕方がないのかもしれないが、やはり、自分を騙すのは、短期的な処方箋にしかならない、というのが、私の結論である。

医療も進み、色々な病気が直せるようになった。

あとは、ストレスとどれだけうまく付き合えるか、それが、人生の幸せ度を決めると思う。

そのためにも、他人だけでなく、自分も騙すのはやめよう。

一言でいえば、「気持ちよく生きよう」、です。